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073
病室のブラインドを下ろしていると、石川と岩瀬がやってきた。
「お疲れさま」
「ああ、お疲れ。Drもお疲れさま」
「あ……お疲れさまです」
 おどおどと橋爪は石川を、そして岩瀬を見やった。
「座れば?」
「ああ、そうしようかな」
 ベッド脇のソファに石川達が座り、橋爪も改めてベッドの上で座り直した。ただ自分だけは橋爪の横に立ったままだったが。
「西脇さん、座らないんですか?」
「いや、いい」
 岩瀬が代わりに立とうとするのを制して座らせた。石川が西脇を見上げ、そして小さく頷くと改めて橋爪の顔をのぞき込んだ。
「この前より少し顔色よくなった。安心した……」
 橋爪は僅かに目を伏せた。
「食事も少しずつ取れるようになったんだって?」
 労る石川の言葉に、橋爪は小さく首を振る。
「俺はそれでいいと思うよ、Dr? 少しずつでね……」
 そっと石川が橋爪の手を取る。石川の手からも逃げようとするのか、びくりと体が強張りその手が動く。
「握手はまだ無理か……ごめんな、Dr」
 軽く橋爪の手の甲を叩き、石川が苦笑した。
「今日はDrと少し相談したくてきたんだ。いいかな?」
「……石川さん……?」
「Dr、あのさ。しばらく休養してくれないかな」
「……え……?」
「しばらく休職って形を取って、休んで欲しいんだ」
 まっすぐに見つめる石川から橋爪は目を反らした。
「私は……」
「辞めろ、ではなく、休め、だよ、Dr。今のままじゃ、Drにも隊にもいい影響はない。怪我したら入院して休職するよな? それと同じことなんだ……」
 石川はソファを降り、ベッドの横に膝を突いた。まっすぐに橋爪を見上げた。
「この病棟にこのままいてもいい。寮に戻っても、ご実家に帰るのでもいい。診療のサポートはもちろんさせてもらう……ダメかな」
 橋爪は下を向いた。握りしめた拳が小さく震えている。
「もちろん、たまっている有休の消化でもいいんだ」
「……落ち着くって……いつまでか分かりませんよ……」
「うん、1ヶ月でも2ヶ月でも待つよ。Drが仕事をしたいと思う、その時でいいんだ。Drが戻ってくる、それが分かっているだけで、俺も頑張れる」
 石川は宮沢からの要請だとは言わなかった。あくまで警備隊の責任者として、そして橋爪の友人として真摯に橋爪に向かっていた。橋爪の恨みも憎しみも全部自分が背負う、その覚悟をもってのことなんだろう。
「……ちゃんと休職したら……」
「うん」
「派遣の医師か、非常勤の医師を正式に依頼してもらえるのですよね……」
「ああ、約束する」
「……隊長……」
 石川のきっぱりとした頷きに、ぼそぼそと橋爪は細い声で呼びかけた。
「うん、Dr」
「……ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「迷惑なんかじゃない。Drにはここにいて欲しいんだ。だから」
「ありがとうございます……」
 唇を震わせながら、橋爪はゆっくりと言った。
「お言葉に甘えて……しばらく休職させてください。期間は堺医師や三浦医師と相談させていただいてからでよろしいでしょうか」
 きっぱりと言い切って、橋爪は頭を下げた。

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