[PR] 脂肪吸引 永遠の詩 忍者ブログ
最新記事
083
(03/01)
082
(10/08)
081
(01/19)
ご意見・ご感想
お返事
Powered by NINJA TOOLS
※名前なしでも送れますw
忍者ブログ | [PR]
テンプレ・レベルから徹底的に検索除けをかけているので、ここへは一般のお客様は入れません……多分(笑)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



069

「……わかった。病室で待っているよ」
 そういうしかないだろう、この場合は。石川と三浦に頭を下げ目を伏せた。
 一緒にいるクロウや岩瀬も何もいわないところを見ると、きっと同じ気持ちのはずなんだろう。
 岩瀬がすっと立ち上がり、部屋を出ていくのと同時に岸谷が入ってきた。
「西脇が起きたって?」
 だから、顔を出したに違いないのに。
「すぐ代わりの飯を持ってくる」
「……いや、岸谷、飯はいいから」
「持ってくる」
 岸谷もぐるだったんだろう。岩瀬がすぐに運んできて西脇の前に盆を置いた。きっと用意されていたのだろう。
 自分が倒れたことなど、岸谷にはすぐに伝えられたのだろう。第一、三浦が白衣姿のままでチーフルームには行っていけば、何かあったのだろうとは何も知らない隊員でも思うだろうし、まして聡い岸谷ならなおさらのことだ。
 椀の蓋を開けると、中にはシンプルな卵粥がはいっていた。
「西脇、フーフーして食わせてやろうか?」
 クロウが笑いながら言ってくる。
「……自分で食える」
 匙でひとすくいゆっくりと口に運ぶ。先ほどのカレーような拒絶反応は起こらない。胃の中のものを全て吐き出したために楽になったのか。
 ただそれでも数口で限界だと悟り、匙をおいた。今度は石川は何も言わなかった。
「……これでいいな?」
「ああ、そうだな……」
 石川がようやくOKの言葉を出す。
「あーあ、しばらく西脇とは酒は飲めないか」
 クロウが残念そうに呟きソファにもたれる。
「……浅野と飲みに行けばいいだろ」
「あいつと飲んでもおもしろくはない」
 ばっさりと恋人のことを切り捨て、クロウは西脇に向かった。
「いっそDr誘って出かけようかな」
「まだ無理だ」
「無理だと思ってんのは西脇だけなんじゃない?」
 西脇にしなだれかかってくるクロウの体を押し退けて。
「Drにちょっかいをかけるのはやめろ」
「そんなに過保護にしなくてもいいだろ」
「過保護じゃない。ただ、今、Drは」
「もういいから、西脇さん。クロウさんも分かって言ってるんだと思うし」
 分かってやっているからこそ質が悪い。だから腹立たしいんだ。三浦には何故分からないんだ。
 三浦のまっすぐな性質は人間としては美徳なんだろうが、もう少し状況を見て言動を判断することを覚えた方がいいのに。三浦には何を伝えても結局は伝わらないんだろうが。
「……そういえば」
 無理にも話の方向性をずらして。
「クロウ、お前には礼を言わなけりゃ、だったなと思って」
 襲われる橋爪を最初に見つけたのはクロウだったから。クロウが爆発物を処理しながらでも橋爪を見つけてくれたから、最悪の事態は免れたんだろうし。
「礼は形にしてくれる?」
 クロウはおどけてそう西脇の言葉の受け取りを拒否してきた。
「別に、西脇に礼をいわれることは何もしてないけどね」
「……そうか」
 礼を言われることではなく、当然のことだからとクロウはいっているんだろう、きっと。
 クロウには落ち着いたら何か菓子でも買って渡せばいい。そして、他の連中にも……
「Drが落ち着いたら、同期で飲み会。それでいいか」
「いいな。ビアガーデンにでも行くか?」
「そん時は宇崎も呼ばなきゃ拗ねるだろ」
 石川とクロウがそれに便乗してくる。
 何も言わなくても通じること。知られたくないことまでも感じ取られてしまうにしろ、それでもその存在はありがたい。

拍手

PR


この記事にコメントする
HN:
TITLE:
COLOR:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS:
<<068 | HOME | 070>>

Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright [ Sillygames ] All Rights Reserved.
http://westbridge.blog.shinobi.jp/