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「俺たちも飯にしよう」
石川が何事もなかったかのようにその言葉を出し、思わず西脇は彼を睨みつけてしまった。 「……話があるんじゃないのか」 「それはお前の方だろ?さっきはテロでバタバタしてたからな」 「……さっきのか?」 「ああ。宮沢さんから何らかの提案があったか、そのあたりだろ? 改善命令なら俺に直接言って来るだろうしな」 「まあな……」 クロウが解放すると共に西脇はぐったりとソファに凭れた。 「だからって、拉致することはないだろう?」 「久しぶりに一緒に飯もいいかと思ってさ」 石川は悪びれることもなくそう笑い、西脇の横に座った。 「だいたい、帰国してから食堂に寄り付きもしてないじゃないか」 「話ならここじゃなくても良かっただろ」 「ついでに飯も食いたかったんだ」 そこに岸谷と調理班が大量の皿を持ってきた。定食や丼、麺ものにカレー……それが全て西脇の前に置かれた。オーダーした覚えはないから、きっとさっき石川と岸谷が話していた時に勝手にオーダーしたのだろう。 「さ、西脇。食っていいぞ」 石川は目の前全ての料理を指した。一つの皿ではなく、全てをだ。 「……何を考えてるんだ、おまえは」 「食い終わるまで帰さない」 「ふざけるな」 我ながら余裕がない。ざっと5、6人分ある料理全てを食い尽くせとまでは石川も言っていないだろうが、それでも苛ついてしまう。 「いいから、つべこべ言わずに食え」 「無茶いうな」 「無茶じゃない」 嫌がらせとも思えない真摯な表情に、罵倒しようとした西脇は思わず息を飲んでしまった。 「お前、いつからちゃんと食ってない?」 「……は?」 石川の言葉に思わず目を見張ってしまった。 そういえば、と思い返してみると、橋爪に付き合って食事をしてはいてもまともに自分自身の食事をとっていたかということにさえ覚えていない。ただ、ちゃんとした食事をしていたという記憶もない。 「Drの方ばかりでつい失念していたが、お前も最近、マトモに食ってないだろ!?」 ネクタイを力任せにグイグイ引っ張られ、喉がしまる。 「殺す気かよ……ったく」 石川の手を振りほどき、西脇はついでにタイを緩めた。石川はきつく西脇を睨みつけていた。 「お前、ちゃんと鏡みてないだろう? その顔色にその目付き」 「……は?」 「凶悪な犯罪者」 「クロウも茶化すな」 横から口を挟んだクロウに呆れたように石川がため息をつく。 「でも、否定はしないがな。ドクターに付き合って、お前まで飯を減らしてどうするんだよ」 「―――別に、ドクターに付き合ってる訳じゃない。食う暇がなかったりしただけだ。第一、今日だって遅めに昼飯食ってたら、テロ処理に呼び出された」 「じゃあ、今朝は? 夕べは?」 「そんなん、いちいち覚えているわけないだろ」 西脇は頭を抱えた。 いつにない執拗な石川の攻めに西脇は大仰なまでに深いため息をつき、一番手前のカレーライスを手に取った。 PR この記事にコメントする
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