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「え?」
「襲われたのは俺だよ、三浦医師? 寝てたのを叩き起こされて、無理矢理迫られたんだ。キスされて服剥かれてフェラされて……途中で強引に止めさせたけどな」 「止めた、んだ……」 驚いたように三浦は西脇を見つめてきた。ひょっとしたら、真逆のことを考えていたのかもしれない。実際、橋爪が抵抗しなければ、それなりのところまで行っていたかもしれないが。 「あんたなら勃つのかい? 今のあいつを見てて、それをおっ勃たせて、突っ込むことが出来るのか?」 「あ、それはそうだけど……」 言葉がまとまらないのか、三浦が毒気を抜かれたように口をパクパクと開閉した。 「それでも、Drだけはきっちりと往かせた。そのうえで、朝からこっちには戻らないと言い張ったんだから、少なくともそれが原因じゃないだろ」 三浦に捕まれ乱れたベストを引っ張り、軽く調えた。 「……そうかもしれないけれど―――残酷だよね、西脇さんは」 「……んだと」 西脇が低く唸っても、三浦は少しも臆することなく真っ直ぐに西脇を見据えていた。 「そこまでしたんならさ、Drを抱いてやったらよかったんだよ。Drが嫌がっても。そうしたら、Drだってあのテロリストとのあれこれを忘れられたかもしれないのに」 「はあ?」 「それに、例え忘れられないにしても。少なくともあの男との記憶は西脇さんとの事に上書きされたはずだ」 どれだけ三浦がくどくどといったところで、全てはもう今更のことではあるが。 「……そんな、中途半端な優しさは、かえって残酷じゃないかっ」 先ほどのように掴みかかってきたわけではないけれど、それでも三浦の指がぎりりと肩に食い込んでくる。西脇は深いため息をついた。 「……三浦さん、もう一度聞く」 掴まれたままだった肩の上の手を振り解き、三浦を真っ直ぐに見上げた。 負けたくはなかった。 何も知らないくせに。 橋爪の抱えた闇も苦しみも何も知らないくせに。 いや、赤井陽典のことがあるか。橋爪がかつて愛した少年……そして、三浦の大切な従弟。 その従兄だから、橋爪のことが分かるとでも? どす黒く濁った感情が西脇を支配する。 「三浦医師、あんたがあいつを抱いてやったら?」 「だからって……」 「押し倒されて、その気になろうかとしたらゲロ吐かれた。行くというから便所に押し込んだら、出てきたあいつにぶっ叩かれた。その上で、泣きじゃくるあいつをベッドに押し伏せることが出来るんならな―――ああ、あんたなら、そんなDrでも抱けるんだろ? あんたが、Drの記憶を塗り替えてやればいいんだ」 「西脇さん! 君ねっ!」 「医療行為なら黙認するといったはずだが」 「西脇さんっ!」 悲鳴じみた声で名を呼ぶ三浦に、どこか暗い愉悦を感じていると、肉厚な境の手がそっと三浦を制するように動いた。 「三浦君、もう止めろ」 「堺医師……」 「西脇もだ。男の嫉妬は見苦しい」 「……別に。三浦さんが必要だと思うなら、そうすればいいといっただけだろう」 西脇はがたんと音を立てて椅子から立ち上がった。 「そろそろ時間だ。何かあったら連絡をくれ」 かろうじてそれだけを吐き捨てるように言うと、西脇は医務室を後にした。 「……くそっ」 壁に拳を押し付け、冷たい壁に額を押し付ける。 『……三浦君も、少し言い過ぎだろう?』 『……すみません、つい、ムキになって……』 『西脇も、橋爪君のことではナーバスになっているんだ。そこへ抱くの抱かれるのと話を振る奴があるかね』 『……はい』 ドアの向こうからもれ聞こえてくる言葉に西脇は唇を噛んだ。 違う――― 自分はナーバスになんかなっていない。 ただ、いつものように「西脇さん」と微笑んで手を差し伸べてくれる、その橋爪の姿が欲しいだけなのに。 PR この記事にコメントする
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