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053
『班長、宮沢さんがいらっしゃいました。お通しします』
 インカムにゲートからの連絡が入る。
「了解。俺もすぐ降りる」
 西脇は僅かに緩めていたタイを締め直した。予定よりかなり早いが、それも仕方あるまい。そろそろ昼食に行こうと思っていたが、それも返上だろう。
「羽田、しばらく出てくる」
 モニターでも宮沢たちの姿を認めていたのだろう、ゆっくりと羽田が頷いた。
「西脇さん、長引きそうなときには早めに連絡ください」
「分かった。ああ、もし会議中に医務室から連絡があったら、悪いが客人をゲートまで案内してくれ」
「了解です」
 そのまま石川に連絡を入れて階下へ降りていくと、ちょうど江角を引き連れた宮沢が建物に入って来たところだった。
「……お疲れ様です」
 目が合い、西脇はゆっくりと頭を下げた。
「ああ、お疲れ様。西脇、隊長と班長連中を招集しろ」
「はい。そのつもりで、先ほど連絡を入れてあります。そろそろ揃う頃だと思いますが」
「そうか」
 宮沢はにこりともせず、つかつかと館内へと進む。
 特に何を話すでもなく、西脇もただ黙々と宮沢の後に続き会議室へと入る。半ば班長達も集まっており、西脇はいつもの席に着いた。
 皆がほとんど揃ったところで、『さて』と宮沢が切り出した。結局のところ、先日のテロの事後処理とその報告が主なもので。
 書類の上だけでは把握できない様々な細かいことを宮沢は突っ込んでくる。それは不在にしていた西脇へも同じだった。
 もちろん、不在だから把握していないというのでは、班長である以上通用しないということは西脇自身よく分かっていることだったから。
「お疲れ様でした」
 そう宮沢が締めくくった時にはほっともする。
「石川隊長」
「はい」
「今回の最終的な入院加療が必要な受傷者は4名と報告を受けているが」
「はい、外警班の3名と内科の橋爪医師です。すでに報告書は上げてあると思いますが」
「堺医師、西脇―――それと石川、残ってくれ。他の班長は業務に戻れ」
「……はい」
 ぞろぞろと班長達が会議室を出て行き、宮沢に指定された3人と岩瀬がそこに残った。
「……橋爪医師は、ちょうど外に出ていた時だったか」
 もとより宮沢は橋爪が医務室以外に巡回することを快くは思っていない。そして、今回の外での巡回中の受傷となれば―――
「はい。ちょうど退勤時にテロに巻き込まれる形となりました」
「巡回中というわけでは」
「退勤時でも、常に隊員のことを気にかけているのでね。巡回の時だけ特別ということはあるまい」
 堺と石川の間で口裏でも合わせていたのだろうか。
 『だから、巡回には反対だったんだ』とでも言いたげに眉根を寄せた宮沢を先制するかのように石川と、次いで堺が口を開いた。
「……そうか」
 そして、興味を失くしたかのように西脇の方を見た。
「あとは外警の3人だったな」
「はい」
「復帰の目処は?」
「あと数日ほどかと思いますが」
 堺を見遣ると、堺も頷いた。
「ああ、そうだな。哀川だけあと2週間程リハビリを受けさせたいが、あとは3日ほどでよかろう」
 堺が西脇をフォローするかのように告げた。
「では、実質1人だな。その程度なら、哀川の復帰まで外警の中で動かせるな?」
「それは大丈夫です」
 西脇はゆっくりと頷いた。
「内科医の方は……ああ……医局に既に申請済みか」
 堺への言葉も淡々としている。
「ああ、はっきりと復帰の目処がつくまでの派遣をと思っている。あるいは必要ないかもしれないが、一応な。必要なら、橋爪君には長期で有休休暇も取らせるつもりだ」
 ただ、堺の意思としては橋爪を手放すつもりはないということだろう。
「……そうですか」
 宮沢は何やら手帳に書き込むと、それを鞄にしまって立ち上がった。
「堺医師、案内してください」
「どこへだね?」
「入院している隊員のところへですが?」
「心配せんでも、虚偽の報告なんざしとらんさ」
「別にそのようなことは心配していません。隊員を見舞うだけです」
 呆れたように宮沢はため息をついた。
「西脇は持ち場へ戻れ」
「―――いえ、外警の連中の所へ行くのなら付き合いますよ」
 正確ではない。正しくは、橋爪のところへ行くのなら、だ。だからとはいえ、それを宮沢に告げることはないだろうが。
「……勝手にしろ」
「ええ、そうさせていただきます」
「では、私達は先に仕事に戻ります。案内は西脇がいればいいでしょうから」
 そう言い出したのは石川だった。
「ああ、お疲れ様」
「何かありましたら、西脇に連絡させてください。すぐに参ります」
「分かった」
 石川と岩瀬が出て行き、宮沢と堺も退室した。西脇は最後に出ると、無言のまま後ろから二人のあとに続いた。

 


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