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テンプレ・レベルから徹底的に検索除けをかけているので、ここへは一般のお客様は入れません……多分(笑)
実際、精を吐き出しても体の火照りは治まらない。
治まらないどころか、出したことによって、橋爪の体はますます火照り昂ぶっていく。 欲望を吐き出して柔らかくなったはずの股間までもが未だに隆々と立ち上がって来てしまう。 昔は精を吐き出してさえしまえば、すっきり出来たはずだ。 我ながら淡白な方だとは思うけれど、その行為すらも周りから聞くほど頻繁に行う方ではなかった。 知らなかっただけだ。 「精を吐く」という行為の果てにあるものを。 その果てにある想いの深さというものを。 そして、それがもたらす快感という存在を。 快感に支配されることが怖くて、それでもそれを手に入れたくて。 それも、全ては西脇巽という男の存在所以だろう。 ずくりと蠢く場所はあえて考えないようにしていたのだけれど、西脇に愛して欲しいという悲鳴さえ聞こえてきそうで。 濡れたままの手を滑らせていくと、自分の体ではないように喜んでそれを胎内に飲み込もうと体が動く。 そう、体内ではなく、胎内。 単純な体の中ではなく、全てを受け入れ育てる胎内。 そこで想いは芽吹き、息づき、育っていく。 母親の胎内でまどろむかのように、優しく想いは育っていく。 それでも、10日も触れられていないそこは、橋爪の細い指さえ拒絶するように入り口を固く閉じている。それが焦れったい。 「おねが……ね、西脇さん、ねえ……」 苦しくなるほどに名前を呼び続けて。 西脇ならきっと、この体の疼きも止めてくれる。 縋るかのように西脇がいつも眠る枕に爪を立てて。微かに残るコロンの香りに、ますます劣情を刺激されて。 橋爪はゆっくりと手を伸ばした。 ベッドの横の小さなチェストの引き出し。 そこにいつも使うローションがあるのは知っているから。 いつもはあえて目に触れないように避けてもいた場所だけれども、西脇が欲しくて堪らないから。 震える手でそれを引き開けた。中をまさぐると、ボトルの他にもいくつかずしりと重い感触がある。 ごくりと唾を飲み込み、ベッドに起き上がって引き出しの中を見た。 ローションのボトルに、コンドームの箱。筆箱より大ぶりな布で出来た袋がいくつか…… 橋爪はゆっくりとそれらを取り上げた。ローションと一緒においてあるものだから、そう想像と違うことはないのだろう…… 何度も失敗しながらも、橋爪はゆっくりとその布袋のファスナーを引き開けた。中には予想通りといえば言えなくもないものだった。 ローターはまだ分かる。あまり嬉しくない状況だったけれど、西脇に使われたこともあるから。 性器を模った樹脂の塊。多分、これがディルドと呼ばれる奴で。 それに、同じようなバイブもある。 それだけじゃなくて、芋虫のような形の細身のバイブ……? でも、西脇がこれを自分へ使った記憶はない。 自分が気付いていないだけなのかもしれないけれど、西脇は自分の体で橋爪を翻弄し絶頂へ導いていたはずだ。 西脇の震える熱も、膨張する感触も、吐き出される熱い飛沫も、全ては西脇自身のものではなかったか…… まさか、昔の恋人に使っていた玩具なのか……? でも、そんなものをこんな風にベッドサイドにおいておくだろうか。 いつ、恋人である橋爪が見るか分からない、こんな場所に。 いや、それは絶対にしない人だ。 間違っても、その痕跡を残して、自分の目の触れるところには置かないはずだ……西脇ならそうだという、何故か確信めいたものを感じる。 そう思ってみると、使われた痕跡はないようにも見えるし…… だとしたら、きっと自分を愛してくれるために買っておいてくれたはず。 零れる涙を手の甲で拭うと、ディルドを手に取った。リアルな形状をしていても、西脇のものよりは多分一回り細目ではあるから。多分、これなら無理なく入れることも出来るだろうし…… 『……紫乃……自分で使うの……?』 それを凝視していると、西脇の声まで聞こえてくるような気がする。 「……だって……西脇さんがいけないんですよ……?」 唇を尖らせて橋爪は呟く。 「西脇さんが、ここにいないから……こんなに欲しいのに……」 面と向かってはなかなかいえないオネダリさえ。 堪えきれずに、橋爪はコンドームの袋を歯で毟り破ると、そのディルドにかぶせた。手を滑らせるだけで、浮いた血管の形までもが掌に吸い付いてくる。 「西脇さん……ね……」 ディルドを何度も掌で擦り上げた。舌先でゆっくりと突くと、そのままそれを口に含んだ。唇でキスを繰り返し舌で辿ると、それがだんだんと人肌に温まっていく。まるでそれが西脇のものであるかのような錯覚さえ感じてしまう。 夢中になって吸い舐っていると、本当にそれしか見えなくなってくる。 目の前に西脇がいて、西脇のものを口に含んでいるという、目もくらむような快感に支配され、さらに体の奥が疼いてくる。 「あ……あ、西脇さ……もう、ね……」 ゴムのローションと唾液とで濡れそぼった手を再び体の後ろに滑らせた。先ほどとは違って、ゆっくりと飲み込まれていく感触に眩暈までしてくる。 「ああ、ん……」 それは自分の指であって、自分の指ではなかった、まるで恋人の意思が宿っているかのように、自分の意思とは関係なく体の中で自分を蹂躙していく。 西脇の節くれだったごつい指が入っていくかのように感じ、それで更に橋爪の息が上がっていく。 「西脇さん、西脇さん……」 ぐちゅりと濡れた音を響かせるそこさえも、橋爪を煽ることしかせず。疼きが大きくなり、橋爪は我知らず腰を動かしていた。 「あ、あん……ね、もう……ねえっ」 橋爪はディルドに爪を食い込ませ歯を立てる。埋めた右手の快感だけでは、この渇きは癒せそうにもないから。 そのまま、ゆっくりとディルドを押し当てた。指で散々に弄られた場所は、大した抵抗もなくゆっくりと飲み込んでいく。 「はぁ……あ、あ……ううん……」 橋爪は息を吐いた。吐息と共に引き込まれていく男根の形をしたものが、橋爪に何故か安心感を与えてくれる。 奥まで押し込み、そして浅く引き抜く。 知らず手が勝手に動いていく。そのストロークまで、西脇のものだった。 「あ、ああ、もっと……ね、ああんっ!」 高ぶりきった股間に左手を沿え、上下にきつく扱く。 前と後と両方からもたらされる感覚に、橋爪は何度も何度も首を振った。体を支えきれずにベッドの上に倒れこんでも手を動かすことを止めることができず…… 「ああん、あ、あ、西脇さん、西わ……ああ、あ……っ!」 ディルドを体の最奥に押し込んだまま、橋爪は新たな白濁を吐き出した。 西脇の名前をどんなに呼んで叫んでも、西脇へは届かない。 届かない想いに、愛はますます募っていく。 夜の静寂に負けそうになっている自分がいる。 「西脇さん……」 脱力しきった体から、ごとりとディルドが落ちていった。抜ける衝撃に体がぶるりと震える。 「西脇さん、西脇さん…………」 橋爪はそのまま顔を枕に埋めた。 「西脇さん、一人ぼっちはもう嫌……」 再びこみ上げてきた涙を隠すように、橋爪は顔に枕を押し当て、そのままゆっくりと意識を手放していった。 THE END--- PR
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