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テンプレ・レベルから徹底的に検索除けをかけているので、ここへは一般のお客様は入れません……多分(笑)
『電話して』
そういう自分のささやかなオネダリも。 『メールもするよ』 そういう恋人の囁きも。 全てはベッドの上の睦言だと思っていたから。 分かってる。ただでさえ多忙な恋人だから。 僅かな時間さえ惜しんで、それこそ身を粉にして働いている恋人だから。いつもの出張がそうであるように、今度もきっと半端ないほど忙しいだろうから。 ありえない、ベッドの上だけのちょっとした口約束のつもりだった。 そして、思いがけもなく電話があったのは、西脇が出張に出かけてから10日も経ってからだった。 3日目にロスで大きめのテロがあったことはすでにJDGでも知らされている。それに西脇たちが借り出されていたことも、事後処理に走り回っていることも分かっているから。 だから、電話がないのが当然で、むしろ電話がないからこそ無事で、元気で過ごしているという証でもあるだろう。 橋爪に出来るのはただひたすらに西脇の無事を祈ること。そして、ちゃんと食事をし、睡眠をとってくれるよう願うこと。 それだけだから。 無理をしないで、とはいえない。 時には無理をしてでも、事件を解決し処理をする。それが西脇巽という男だから。自分とは違って、身も心も自分自身で制する事の出来る男だから。 だから、信頼している、尊敬している。 だけど、それでも心配しないというわけではないのだけれど…… 大丈夫だとは分かってる。それでも、どうか無事でいてほしい…… 何度も何度もクロスに頭を擦りつけ、西脇の無事を祈りながら眠りにつく。 それが日常化していたからこそ余計に、驚きが隠せない。 他愛もない状況報告でさえ、涙が溢れそうになるほどに嬉しい。 西脇の穏やかに笑みを含んだ声をずっと聞いていたい。 我がままで意地悪で、だけど何より自分を思ってくれている恋人。 自分の前でだけ、出来る男の仮面を脱いで素の西脇巽という男の姿を見せてくれる恋人。 僅かな会話の中にも、想いがどんどん膨らんでいく。 どれだけあなたを思っているか、あなたは知らないでしょう? たったこれだけの僅かな会話でさえ、泣きたくなってしまうくらいに、あなたのことを思っているか…… もっと声を聞かせて。もっと笑って。 願ってもかなえられない夢だというのは分かってる。 『……じゃ、そろそろ行かなきゃけない時間だから』 そういわれて、分かっていても涙が溢れてきてしまう。 「……西脇さん、早く帰ってきて。ちゃんと待ってますから」 出来ないことだと分かってる。でも、電話越しじゃなくて、元気なあなた自身を見せてほしい。耳元で直接名前を囁いて…… 『紫乃、笑って。じゃないと、安心して出かけられない』 自分が涙ぐんでいるのが分かるのか、西脇がゆっくりと呟く。 実際、ロスではこれから一日が始まる。 自分も泣いている姿ではなく、笑った姿こそ思い出してほしいから。 なにより、自分の涙を苦手にしている恋人だから…… 零れ落ちた涙を拭い鼻をすすり上げて、何度も深呼吸して息を整えた。 西脇は何も言わない。ただ自分が自分自身の力で立ち上がるのをじっと待っていてくれる。 「今日も一日頑張ってくださいね……巽さん」 想像以上に穏やかな声が出せた。無理矢理ではなく、本心から。 『ありがとう、紫乃。紫乃も、ゆっくり休んで』 きっと強がりも分かってくれている。だから、電話の向こうの声にも笑みが混じる。ちょっとだけ苦笑して、それでも笑みを浮かべてくれている。 自分から切らなければ、恋人はずっとそのままだろう。 これから仕事に向かうというのに、ちゃんと送り出してあげたいから。 いつまでもその穏やかな声を聞いていたいけれど。 「はい……その、お休みなさいっ」 西脇なら笑うだろうな……というのが何となく想像できて。 橋爪は慌てて携帯を閉じた。 こみ上げてくるのは悲しみなのか寂しさなのか……それとも、元気そうな恋人の声を聞けた安堵なのか。 それは分からないけれど、暖かに頬を伝う感触に橋爪はゆっくりと目を閉じた。 「……西脇さん、早く帰ってきて……早く会いたい……」 >>>続きあります。 ![]() ![]() ![]() が、ちょっと危険ゾーンへと突入します。 一応、18禁です……いや、ある意味、20禁指定かも ![]() ああ、紫乃さんもやっぱり男だったんだなぁ……とか あー、健康的な成人男性ですものね……と、 達観できる方のみ、【続きを読む】から入ってくださいね。 ただし、お嬢さん方の紫乃さん像をいたく壊すことになっても 姐は責任取れませんからねw 【⇒⇒続きを読む】 PR
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