[PR] 脂肪吸引 永遠の詩 忍者ブログ
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010

***注意***
 Drにとっては痛い表現が続きます。
 苦手な方はご遠慮ください。
 多分、飛ばしても大丈夫……かも。 




「何が起こったのかは、もう聞いたのだね」
「それは石川から。モニターも見た。剥かれて蹲るDrの姿も……それでも、俺は諦めきれない。もう2度と離さないと……」
「支えてやれ。おまえが帰国したから、これからが多分、余計に辛いよ、彼は」
「……はい」
 堺の真摯な言葉に西脇はゆっくりと頷き、居住まいを正した。
「彼が運び込まれた状況は聞いたね?」
「衣服が肌蹴られ、下半身には何も身に着けていなかったと」
 先ほど見せられたモニターの荒い画像が脳裏に甦る。
「その通りだ。この際だから、はっきりいっておこう。陰毛にこびりついていたのは精液で、それは彼のものか、もしくは犯人のものかは分からない」
「犯人は、服を緩めてはいませんでしたから」
 横から口を挟む石川に堺はゆっくりと頷いた。
「なら、橋爪君のものだろう。濡れていたのは、匂いから小便だろうと思う。きっと、失禁でもしたのかもしれないがね。そして、頬には大便が付着していた」
「……頬に?」
「ああ、こう、筋状にな」
 堺は頬を指先で斜めに撫でた。
「尻にねじ込んで汚れた指で、彼の頬を撫でたものか、それは分からんが……たが、現場検証でも確認できなかったところを見るとおそらくはそうなんだろう。それは橋爪君と犯人にしか分からんよ」
「……そうか……クロウは何もいわなかったから……」
 石川の声が震えていた。多分、石川もそこまでは聞いていなかったのだろう。クロウとて、そんな話をペラペラと周りに話すような男じゃない。
「幸い、外傷は大したことなかった。尻にも傷はない」
「……はい」
 先ほどの不幸中の幸いだという台詞。
 やはりそうなのかもしれない。それでも、僅か針の先ほどの幸いなのだろうが。
「シャワーを浴びさせて、手当てをした。点滴をして、部屋に帰そうとした。だが、隊員達にさえ怯えて寮の中で動けなくなったそうだ。それでもなんとか時間をかけて部屋まで行ったが、入ることは出来なかった」
「部屋にも?」
「ああ。それだけおまえのことが好きで、操立てでもしているのだろうね……」
「……ああ……」
 西脇は顔を覆った。
「泣き叫んで、半分気を失うようにしてまたここに運ばれてきた。それからだよ、おまえの名前を呼んで泣くようになったのは」
「……聞いていましたよ……どれだけ辛い思いを抱えているのかと……」
 再会しても、橋爪は謝ることしかしなかった。
 他の男に触れられた程度で、橋爪をどうこう思うはずはないのに。
 自分が嫉妬心に駆られるのは、橋爪が橋爪であるからだ。橋爪を愛しているからこそ、他には目を向けて欲しくなくて、自分だけを見て欲しくて、橋爪の周りの全てに嫉妬するんだ。橋爪の前では、自分を取り繕うこともしたくないから。
 今じゃない。今は痛ましいだけだ。
 高みから橋爪のことを同情しているだけなのかもしれない。同情を愛情と勘違いしているだけなのかもしれない。
「西脇?」
「……同情しているだけなのかな……」
「同情でもなんでもいいじゃないか。Drはおまえを必要としてるんだろ?」
「俺が傍にいていいのか……?」
「覚悟を決めろといったはずだ。じゃなかったら、今すぐ出て行け」
 堺の言葉は容赦なかった。沈みかけた思いをぐいっと強引に引きずり上げてくれる。
「西脇、どうするね?」
「続きを」
 腹をくくるしかなかったのかもしれない。堺がその気になれば、本気で橋爪を西脇から隔離することだろう。
「降りるなら、今だぞ?」
「降りません」
 西脇はまっすぐに堺を見やった。
「……他に何かあるのですか? 自分で自分を傷つけるまでに追い詰められて……」
「汚い、と泣きながらな。多分、触れられた感触が忘れられないのだろう。何度消毒してやっても同じだ。掻き毟るなんて生易しいもんじゃない。爪を立てて、肌を引き裂いている。多分、治ってもいくつかは傷跡も残るだろうな……」
 堺はまっすぐにガラスに向かった。ガラスの向こうでは、橋爪は束の間の眠りについている。
 デスクのモニター越しにも分かる。歪められた寝顔……それは、決して安らかな眠りなどではない。
「トイレにも、自分じゃ行けない」
「……歩けないと? さっきも床を這ってましたが」
「いや、そうじゃない」
 ふうっと堺はため息をついた。
「排泄することに恐怖を持っているんだ。漏らしそうなほどに我慢していても、トイレに行くことを嫌がっている」
「……は?」
「腹を押さえて、脂汗を流しながら、それでも嫌がっていた」
 医師である橋爪が?
「行かせたんでしょう? 無理矢理にでも」
「導尿用のカテーテルと浣腸で脅して、無理矢理にな」
 堺の深いため息は、それが本意ではなかったと。ただ、そうでもしなければ、体にも障るだろう。
「それでも、まだギリギリまで我慢してる。した後も、汚い汚いと呟きながら、手がふやけるまで何度も石鹸で洗いながらな……」
 堪えきれず、西脇は椅子を蹴倒して窓に向かった。
「どうして……」
 ガラス越しに橋爪の姿を認め、ガラス越しにその姿に縋った。大きな体を丸め、膝をつき。
「排泄することに嫌悪感とか、罪悪感とかがあるのかもしれないな」
医師せんせい……」
「橋爪君が自分自身でそれを乗り越えんと、一生、セックスも拒否するだろうな」
「……無理に抱くつもりはありませんよ……」
 呟く西脇の肩に堺がゆっくりと手を置いた。
「理解してやれってのは無理だろう。だけど、傷を持ってる、それは分かってやってくれ」
「……はい」
「橋爪君を甘やかすだけのつもりなら、そんな看護人は必要ないからな。必要なら、橋爪君を叱り飛ばしてでも毅然としてろ。西脇だったら大丈夫だろう?」
 髭の奥の口元が微笑みの形にアーチを作る。
「何もかもを自分ひとりで背負い込もうとするな」
「……はい」
 西脇は膝をついたまま、ゆっくりと頭を下げた。
「橋爪君は、しばらく休職扱いにするから。テロでの受傷者の報告はしているからな……多分、委員会にもしばらくはばれないだろう」
「……ありがとうございます」
 何度も何度も西脇は頭を下げ、上げようとはしなかった。
「西脇、今日はもう休め。帰国したばかりだし、顔色も悪い……橋爪君に何かあったらすぐ知らせるから」
「付き添っていてはいけませんか」
「西脇、無理はするな。これからが長いんだ」
「お願いします……傍にいるだけでも。目が覚めたときくらいは傍にいてやりたいんだ……」
 堺のため息が突き刺さる。
「まだ、小一時間は起きないだろうから。その間に食事して着替えてくるといい」
「……分かりました」
「その時に、橋爪君の着替えも持って来てくれないか。病衣では落ち着かないだろうからね」
 肩を叩いて行動を促し、堺はゆっくりと笑った。



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